「Beginner」選抜メンバーは大島優子、前田敦子、篠田麻里子、板野友美、渡辺麻友、高橋みなみ、小嶋陽菜、柏木由紀、宮澤佐江、松井珠理奈(SKE48)、松井玲奈(SKE48)、河西智美、高城亜樹、峯岸みなみ、北原里英、指原莉乃の16人。
「じゃんけん選抜」で優勝した
内田眞由美の
シンデレラストーリーが話題の
アイドルグループ・
AKB48。
同大会で、もう一つ大きな話題をさらったのが、内田が
センターを務める19thシングル(12月8
日発売)の前に
リリースされる18thシングル「Beginner」(10月27日発売/
キングレコード)のPVだ。映画『
下妻物語』『
嫌われ松子の一生』『
パコと魔法の絵本』『告白』で知られる
中島哲也監督が手がけたこのPVは、ゲームの世界に没入する若者への警鐘を描いた衝撃的な作品になっている。
「痛みを通して"生"の意味を問う」というような
中島監督のメッセージが集約されたこのPVについて、
AKB48劇場通い4年10
カ月の"
古参ヲタA氏"は次のように明かす。
「じゃんけん選抜の
武道館の会場で初公開された『Beginner』の曲調は、R&Bテイストで、昨年
発売の『
RIVER』以上にシリアスなメッセージ性のある曲です。PVでは、
メンバーたちのダンスシーンのほか、メンバーたちが
近未来的な世界でゲームをプレイし、自らの姿を模した
キャラを操って、ゲームの世界の
ポリゴンCG風の敵と対戦。ゲーム内で
篠田麻里子は体を
グチャっとつぶされ、
小嶋陽菜は頭を
水平に真っ二つにされます。さらに
大島優子、
前田敦子も敵に挑み、
大島が先に全身をつぶされ、前田は
片腕を敵の武器によって押さえつけられますが、その腕を自ら引きちぎり、抵抗。そこに
松井珠理奈が現れて、敵を倒すという流れになっています」
ゲーム内の
キャラクターなったメンバーと、それをプレイするメンバーがいるという二重構造で、両者は、『
攻殻機動隊』のように脊髄で
神経接続されており、痛みが実際に伝わる様子は『
新世紀エヴァンゲリオン』の"
A10神経"の設定を彷彿。前田が、神経接続部分を外し、手から血を流し、数十秒にわたって咆哮するシーンは、『
エヴァ』の
碇シンジの絶叫や、『エヴァ』と同じ
庵野秀明監督の『
ふしぎの海のナディア』の
ナディアの兄で、機械の体となった
ネオ皇帝の設定を思わせるなどSF・
アニメ作品の
オマージュも感じさせるPVとなっている。さて、ゲーム内のキャラクターという設定だが、
アイドルが顔を真っ二つされ、腕を引きちぎるシーンはTVの
地上波で
放送はできるのだろうか? ある週刊誌記者は次のように明かした。
「TVの
自主規制は強まる一方で、
例えば『
ドラゴンボールZ』(
フジテレビ系)を再編集した『
ドラゴンボール改』(同局系)が現在放送中ですが、
孫悟空が
ラディッツを倒すために自ら
犠牲となって、
ピッコロの魔貫光殺砲で貫かれるシーンは、『Z』では体に穴が開いていましたが、『改』では、穴は開かず、やけどのような跡が残るだけなるなど、残虐シーンは
修正される傾向にあります。また、ゲームの
表現の
倫理を審査する
CERO(
コンピュータエンターテインメントレーティング機構)があるゲームの世界では『
デッドライジング』(
カプコン)で、海外版は
ゾンビの体が部分
破壊されますが、日本版は手足がバラバラになる描写がないなど、残酷表現描写は修正されています。ですが、『ドラゴンボール改』も
敵キャラである
フリーザが真っ二つにされるシーンは放送されたので、今回のAKB48のPVも結局は各TV局の
有識者によって判断しだいでしょうね」
現在放送中の
農林水産省「めざましごはん」
キャンペーンなど、
行政機関のCMに出演し、『
レコード大賞』(
TBS系)も控える
タイミングであえて、"首チョンパ"ならぬ"顔チョンパ"や、腕をもぎ取るPVに挑むAKB48。自殺を
テーマにした「
軽蔑していた愛情」や友人の死と残された者の決意を歌った「
否定の
レクイエム」など常に
死生観を問う作品を提示してきた
秋元康総合
プロデューサーの新境地ともいえる。互いを思いやるイマジネーションが欠如し、些細ないさかいで
殺人事件が発生する時代に、『告白』でも世間を震撼させた中島監督が、痛みを通して、人間の根幹に迫るというメッセージ性の強いPVが世間にどう評価されるのか注目だ。